当て字 wikipedia|無料辞書
当て字(あてじ、宛字)とは、
字の本来の用法を無視して、当座の用のために異なる語の表記に転用した
漢字などの文字。
◆ 概要
当て字は、「(当座の)字を当てる」という
日本語の表現に由来した概念であり、通例は
漢字の転用について言う
[漢字以外の文字を使う場合もある。例えば現代中国語は原則として漢字のみで表記するが、最近の借用語の中にはローマ字を語の表記の一部に用いるものがある(例:(?音: k?l?'?k??)=カラオケ)。これも「当て字」と見なすことが可能である。]。具体的には、
・漢字の字義を無視し、読み方のみを考慮して漢字を当てる場合。狭義にはこれのみを指す。
仮借を参照。
・漢字の読み方を無視し、字義のみを考慮して漢字を当てる場合。広義にはこれを含む解釈もある。なお
六書の「
転注」がこれを指すと考える学説がある。日本語の
熟字訓も含まれる。
の両者をいう。
また、漢字を使う
中国や
台湾などでは、筆画が多くて書くのが煩雑な場合
[例えば、香港の茶餐庁ではレモン入りのコーラ「檸樂」(広東語でレンロク)を類似音の数字、漢数字「0六」(レンルク)と伝票に書くことがよく行われる。]、正しい書き方が思い出せない場合、同音で簡単に書ける漢字や数字で代用することが行われる。中国語ではこの種の当て字を「白字」(バイズー)と呼ぶが、これも仮借の一種である。
◆ 当て字の例
・日本語独自の語形の例:
ドイツ - 「独逸」「独乙」(中国語表記は「徳意志」)、
ベルギー - 「白耳義」(中国語表記は「比利時」)など。中国語では用いられなくなった形が日本語に残存したものが多い。
このほか、自立語に対する当て字の例には以下のようなものがある。
・出鱈目(でたらめ)
・滅茶苦茶(めちゃくちゃ)
・珍紛漢紛・珍糞漢糞・陳奮翰奮など(ちんぷんかんぷん)
・珈琲(コーヒー)
・目出度い・芽出度い(めでたい)
・出来留(できる)
などがある。
また、
夏目漱石が、当て字をよく用いていた作家として有名である。
・沢山(たくさん)
・場穴(ばけつ)
・兎に角(とにかく)
・浪漫(ろまん)
現在の日本語では、漢字に加え
ひらがなと
カタカナの混用によって語の切れ目を表示するようになり、
外来語はカタカナ表記されることが通例になっている。
上記の例からも分かるとおり、漢字の仮借による当て字は、必ずしも字義を無視するとは限らず、特定の意味をもつ字を恣意的に選ぶことがある。また逆に、特定の字(自立語的な意味では使われない字が多い)を特定の音を表す当て字用の文字として多く使う(例えば「亜」「阿」 - 「ア」、「斯」 - 「シ」「ス」、「加」 - 「カ」など)ことによって、意味の喚起を抑えようとする用例も見られる。また、当て字の使用が字義に移った例もある(例「欧」。「殴」「嘔」の異体字の「欧」は今では「ヨーロッパ」の意味でしか用例が殆どない)。